忘れられない出来事

2001年10月27日、土曜日、午後3:00過ぎ、場所は東京競馬場パドック

競馬を知っているとはいってもあまり自分から積極的に競馬場に足を運ぶわけでもなく、既に始めていた一口馬主での出資馬が出る日だけ、それも午前中だけ、という感じでしか競馬場に行っていなかった私。

正直、なぜあの日、自分の出資馬もいなかったのに競馬場に行ったのか、それはよく覚えていません。
とりあえず第10レースは見ずにメインレース(第11レース、武蔵野ステークス(G3))の出走馬が出てくるのをパドックで待っていたのは覚えています。

パドックにメインレースに出走する各馬が出てきた中で、このレースの勝ち馬になるクロフネが姿を現した瞬間、この瞬間をはっきりと覚えています。
理由はよく分かりませんが、クロフネの馬体に一気に気持ちを持って行かれた、…なんだろう、いわゆるオーラなのかな、存在感?、それとも威圧感だったのかな…、とにかくあんな経験は先にも後にもこのときだけ。

クロフネはそのとき既にG1を勝っていた馬だったので、「すごい馬」「強い馬」そういう先入観で見ていたのかもしれません。でもその後にG1馬を見たときにもこんな感覚を持ったことなかったし、いまでもあの感覚は何だったのかよく分かりません。


そのレースでクロフネは従来のダート1600mの日本レコードを1秒以上縮めるタイムで優勝。次のレースのジャパンカップダートでやはり従来のレコードタイムを1秒以上縮めるレースをした後、故障で引退しました。


この日の武蔵野Sを見るまで、私は「ダート競馬なんて芝よりレベルの低いレースだろ」という考えがあったと思っています。この日のクロフネの存在をきっかけに「強い馬が強い勝ち方をするダート競馬って面白い!」という風にガラッと考え方が変わった、とても印象深い忘れられない瞬間でした。


http://oumanoshasin.com/photos/20070813_Kurofune_03.jpg
クロフネのおかげでダート競馬に興味を持ち、一口馬主ではダート血統の馬に出資するようになり、それを一つのきっかけにして、エスポワールシチーに巡り会えたのかな、なんて思いもあります。


いまクロフネは安平町にある社台スタリオンステーション種牡馬として繋養されています。
引退後の彼を見ても、あのときに引きつけられたような感覚を感じたことはありません。それだけにあのときの不思議な感覚は何だったのかな…と彼に会うたびに思い出します。